
「ブルーベリーが目に良い」
これは1996年に日東書院より発刊された「目がよみがえる驚異のブルーベリー 話題の活性酸素も抑制してしまう果実の正体とは!?」
にてブルーベリーのアントシアニンの効果が紹介されて以来、広く日本の常識となっています。
しかし一般に浸透するにつれ、また企業がこの話題に乗って過剰に宣伝したため、正しい情報を持つ人が少ない感じも否めません。
そこで今回は、本当にブルーベリーが目に良いのか?ということについて、掘り下げてみていこうと思います。
ブルーベリーは目に良いの?
さてでは、ブルーベリーは本当に目に良いのか?ということですが、結論から言えば、「目に良い効果が期待できる」と言えるにとどまります。
それも、ブルーベリーを食べれば「視力が良くなる」ということではありません。
ブルーベリーの皮に含まれるアントシアニンという色素が、「目の健康に効果があるようだ」ということです。
ブルーベリーが目に良いと言われるようになったきっかけ
ブルーベリーが目に良いと言われるようになったきっかけは、ある戦闘機のパイロットがビルベリー(ブルーベリーの野生種)ジャムを好んで食べており、「そのおかげで暗い中でもよく見えた。」と言ったことに端を発します。
その後研究が進み、
「ブルーベリーの皮に含まれるアントシアニンが目の健康に効果があるようだ」
ということとなりました。
ヨーロッパでは実際にアントシアニンが目薬として処方されているという実績もあります。
そういった例があって、前述の「目がよみがえる驚異のブルーベリー」によって日本にもブルーベリーのアントシアニンの効果が日本でも紹介されました。
これが、日本でもブルーベリーが「目に良い」と言われるようになったきっかけです。
ブルーベリーが目に良いといわれる理由は、皮に含まれるアントシアニン

では、ブルーベリーの皮に含まれるアントシアニンには、どのような効果が期待できるのでしょうか?
以下に挙げてみましょう。
- 血行促進
- 血管強化
- 活性酸素の抑制
簡潔に書くとこのようになりますが、血行促進や血管強化などは、目にとっても結構大切なことなのです。
ピントフリーズ現象への期待

近年よく聞くようになった「ピントフリーズ現象」
パソコンの画面を凝視し続けて、ふと視線をはずすと、ピントが合わずに視界がかすんだり、ぼやけたりした経験はないでしょうか?
この状態をピントフリーズ現象と言います。
これは、目のピントを調節する「毛様体」という目の中の筋肉が凝り固まったことによるものです。
この時の目は、一時的に近視の状態になってしまっています。
アントシアニンには血行促進効果があるため、目のピントを調節する「毛様体」の血行が促進され、コリがほぐれます。
そのため、ピントフリーズ現象への効果が期待されます。
眼精疲労改善への期待
パソコンのモニターを凝視するなどして目を酷使すると、目の疲れ・充血・かすみ・視力低下といった眼精疲労が現れてきます。
同時に、肩こり・頭痛・胃痛・食欲不振などが起きることもあります。
アントシアニンの血行促進効果は、前述の「毛様体」に限ったことではありません。
目全体の血行が促進され、眼精疲労をやわらげてくれます。
更に言えば、アントシアニンの血行促進効果は目に限ったことでもありません。
体全体の血行を促進するため、肩こりや頭痛など、血行に関連する不調にも効果が期待できます。
ロドプシンの再合成を促進(視力問題への期待)
少し専門的な話になってしまいますが、アントシアニンにはロドプシンという物質の再合成を促進する効果があります。
ロドプシンは、目で見た情報を脳に伝えるために重要な役割がある物質で、このロドプシンの再合成が上手くいかないと、視力に問題が生じると考えられています。
アントシアニンにはロドプシンの再合成を促進する効果があるため、視力問題の改善が期待されます。
ただここで注意したいのは、もとの視力が良くなるわけではない点です。
ロドプシンの再合成が上手くいかないことによる視力の不調について、効果が期待できるということです。
ブルーベリーは目に良いの?本当のところは?

ここまでで、なんとなくブルーベリーは目に良い効果が期待できることがわかってきました。
でも、これらの効果に「本当なの?」と思われる方もいらっしゃると思います。
日本ではまだ、ブルーベリーで視力が回復できると断定できるほどの研究結果は出ていません。
しかし、ヨーロッパではアントシアニンが医薬品として使われているという事実もありますし、眼精疲労などには効果が期待できます。
さて、そんなブルーベリーですが、アントシアニンを摂取する目的なら、果実から摂るというのはオススメしません。
なぜでしょうか?
ブルーベリーからアントシアニンを摂取する際の注意点
日本に流通しているブルーベリーはほとんどが栽培種で、アントシアニンの含有量は、野生のブルーベリーの半分以下です。
そのため、ブルーベリーからアントシアニンを摂取しようとした場合、実はかなり大量のブルーベリーを食べなくてはいけません。
また、ブルーベリーは果実です。
果実には「果糖」が含まれます。
そのため、ブルーベリーからアントシアニンを摂取しようとすると、目に良いなどの健康的な効果よりも「果糖」の過剰摂取によるデメリットのほうが勝ります。
ブルーベリーのアントシアニンの効果的な摂取方法は?

では、ブルーベリーの皮に含まれるアントシアニンを効果的に摂取するには、どうしたらよいのでしょうか?
最も一般的なのは「サプリメント」でしょう。
ブルーベリーサプリメントについては、こちらにまとめましたので、気になる方はご参照ください。
アントシアニンはブルーベリーの皮に含まれますが、なにもブルーベリーから直接生で摂取しなければいけないわけではありません。
サプリメントは、健康に効果が期待できる成分を凝縮したものですから、サプリメントから摂取したほうが効果的です。
目に良いとされる成分は、アントシアニンだけではありません。
ルテインやゼアキサンチン、その他カロテンや各種ビタミンなども目に良いとされています。
目に良いと謳っているサプリメントは、これらの成分も凝縮して含んでいるため、より効果が期待できます。
目に良いと謳っているアントシアニンを含むサプリメントはいくつもありますが、特に人気なのは「めなり」というサプリメントです。
この「めなり」というサプリメントは、やはりアントシアニン以外にも様々な栄養素を含んでいるものです。
「めなり」については、こちらの記事にまとめていますので、興味のある方は参照してみてください。
ブルーベリーのアントシアニンは、目に良い万能薬ではない
最後に、これは勘違いして欲しくないのですが、アントシアニンはあくまで栄養素の一部です。
万能薬ではありません。
いくら目に良い効果が期待できるとは言っても、もとの視力が良くなる効果までは望めません。
マッサージで腰痛が完治しないのと同様、アントシアニンでも視力が1.0以上に回復することはありません。
ただ、マッサージもある一定の効果があるのと同様、アントシアニンにも一定の効果が期待できます。
アントシアニンを、目のマッサージのようなものと捉え、アントシアニンだけで視力の根本的解決を目指さないようにしましょう。